【大量解説】民法④-4 無権代理|権利関係 【宅建部の練習】

無権代理

無権代理とは、その名の通り、代理権の無い代理人です。代理権がない代理人って?と思いますよね。詳しく解説します。

無権代理とは

無権代理とは、本人を代理する権限がないにもかかわらず、ある者が勝手に本人の代理人として振る舞うことをいいます。

無権代理とは

無権代理の効果

無権代理は本人が追認をしなければ無効です。代理権が無いので無効になるのは当然ですね。

本人が追認をしたらどうなるか?

上記のように原則は無効ですが、本人Aが追認をすれば契約は有効になります(黙示の追認でもOKです)。無権代理であったとしても本人がOKと言うのであれば契約の効力を生じさせてもなんら問題はないからです。

追認をする相手は誰にする?

なお、追認する相手は、相手方でも相手方以外でもOKです。つまり追認の意思を誰かに伝えればOKということですね。
ただし、相手方以外に追認の意思表示をした場合は、相手方がその追認の事実を知るまでは追認したことを相手方に主張することはできません。
まだ何も知らされていない相手方を保護するためです。

※なお、追認した場合でも第三者の権利を害することはできません(116条但書)。
もっとも、これは対抗問題となることがほとんどで、116条但書が適用されることはほぼありません。

(Q1.)追認をしたわけではないが、追認と思われても仕方がない行為(ex.履行の請求)をした場合は追認したことになるか?

(A1.)追認となります。
はっきりと追認と言ったわけではないが「早くサインちょうだいよ」(これが履行の請求)をしたのであれば追認したとしても良いですよね。

(Q2.)追認の効果はいつから生じるか?

(A2.)契約の時からです。
追認の時からではありません。追認には遡及効があるからです。

3. 相手方が催告をして効果帰属を確定する場合(114条)

(Q.)Bが「Aの代理人として契約をする」と言ってCのもとへ来たが、怪しんだCはAに対して催告をした。しかし、Aの解答がなかった。この場合は契約はどうなるか?

無権代理の催告

(A.)契約は追認拒絶されたものとみなされます。
AからするとCは赤の他人です。Cから突然電話がかかってきて「Bがあんたの代理人として契約したけどどうするの?」と聞かれたら怖くてAはガチャッと電話を切りますよね。それは追認拒絶だろうということです。

本人からの追認がなく代理権があると証明できなかった場合は以下の責任追及ができる

内容相手方Cが
  善意無過失善意有過失悪意
無権代理人へ責任追及本人の追認がなければ無権代理人に対し①履行②損害賠償請求のどちらかを請求できます。履行or損害賠償をしてもらえば本人は満足できるからです。両方を請求できるわけではありません。できるできないできない
取消本人が追認をしない間は相手方が取り消すことができる(取り消すと無効となり本人は追認できなくなります。つまり早い者勝ちです)。できるできるできない
催告本人に対して、相当の期間を定め追認するかどうか催告すること(期間内に解答がないと追認拒絶とみなされます)。できるできるできる

無権代理人と相続

①本人が死亡して無権代理人が単独で本人を相続した場合
Aの無権代理人Bが、Dとの間で甲土地の売買契約を締結した。その後、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合、Dは甲土地の所有権を当然に取得します。 無権代理をしたBに「Aが死亡したからその土地はやっぱり俺が相続するんだ!」と言わせないようにするためです。
A

B→D
②無権代理人が死亡して本人が単独で無権代理人を相続した場合
Aの無権代理人Bが、Eとの間で甲土地の売買契約を締結した。その後、Bの死亡によりAが単独でBを相続した場合、Aは無権代理行為の追認を拒絶できます。ただし、Aは無権代理人の責任を相続します。 AはBが勝手に行った無権代理の契約を拒絶することができます。ただし、拒絶すると無権代理人の責任を相続してしまうのでAにとっては踏んだり蹴ったりです。
A

B→D

他パターン 無権代理人が死亡して本人と共同相続人が無権代理人を相続した場合

Aが共同相続人(F,G)と共にBを相続したら、全員で追認しなければBの無権代理行為は有効になりません。『1人は追認して残りは追認拒絶する』といったことを認めると権利関係が複雑になるため全員でまとめて追認or追認拒絶しろということです。

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