【大量解説】民法④-3 代理権の消滅、復代理、代理行為の瑕疵|権利関係 【宅建部の練習】

代理権の消滅、復代理、代理行為の瑕疵

【大量解説】民法④-3 代理権の消滅、復代理、代理行為の瑕疵|権利関係 【宅建部の練習】

ある事情によって、代理人の代理権が消滅することがあります。代理権が消滅するということは、問答無用で代理人ではなくなるということです。
なぜ消滅するのでしょうか?以下で分かりやすく解説します。

代理権の消滅事由まとめ

以下の事由が発生すると、代理権が消滅します。

消滅する理由

死亡

本人、代理人→本人か代理人が死亡したら、代理する人が人いなくなりますので、どちらかが死亡したら代理権が消滅するのは当然です。

破産開始手続き開始決定

本人、代理人→破産すると経済的信用を失うため消滅します。
ただし、法定代理は『親が子を代理する』というような場合なので、経済的信用は関係ありません。よって、法定代理の場合に、本人が破産したとしても代理権は消滅しません

後見開始の審判

本人→本人の後見開始は、「そもそも後見開始するような人は代理人のバックアップが必要だろう」ということで、代理権は消滅しません

代理人→代理人が後見開始した場合は、「判断能力が低下した人を代理人としてたてておくわけにはいかない」ということで、代理権は消滅します

部長
部長

上記の事由によって、代理権が消滅した後に売買契約が締結された場合、無権代理行為となり無効になるぞ!

復代理

復代理人とは「代理人が選任した本人の代理人」です。代理人に急病などのやむを得ない事情がある時や、本人が許諾した時には代理人は復代理人を選ぶことができます。

イメージは、分身の術で代理人をもう1人増やすといったところです。

復代理

復代理のポイント

復代理を考える上で、ポイントは4つです。

  1. 復代理人は本人を代理する(「代理人の代理人」ではない)
  2. 復代理人の権限は代理人の権限の範囲内のみ
  3. 代理人の代理権が消滅すると、復代理人の代理権も消滅する
  4. 代理人は復代理人を選んでも代理権を失わない

つまり、”親亀小亀の関係”といったところです。

復代理の要件と責任

「復代理の要件と責任」といっても分かりにくい見出しです。

どういうことかというと、例えば、復代理人Cがミスをしたときに代理人Bは本人Aに対して何も責任を負わないのか?といった場合の話です。
復代理人を選任するときの要件と一緒に見ていきます。

復代理の要件と責任
部長
部長

「代理人が責任を負う可能性がない」となることはないな!
試験で「代理人は責任を負うことはない」と出てきたら×だぞ!

復代理が受け取った受領物の引き渡し義務

復代理人が委任事務を処理するに当たって、本人に対して受領物を引き渡す義務を負うほか、代理人に対しても受領物を引き渡す義務を負います

「どっちにも引き渡すの?おかしくないか?」と思ってしまいますが、例えば、復代理人が代理人に受領物を引き渡した時は、本人に対する受領物引渡義務は消滅します

ようは、「代理人か復代理人の、どちらか一方に渡せば良い」ということです。

代理行為の瑕疵

代理人が騙されたり脅されたりして契約をした場合、その契約はどうなるでしょうか?取り消すことができそうな気がしますが、細かな論点があるので見ていきましょう。

代理行為の瑕疵

代理人Bが相手方Cから詐欺や強迫にあった場合、実際に契約を締結しているのはBなので、原則として取り消せるかどうかは代理人を基準に判断します。代理人が詐欺や強迫を受けていたなら、その契約は取り消すことができます。

つまり、もし仮に、本人が詐欺にあっていても代理人がした契約に瑕疵がなければ取り消すことはできません。あくまで、騙されているかどうか等の基準は、代理人にあります。

代理人が騙されているため取り消せる場合、誰が取消しを主張できるのか?

原則…代理人を基準に判断して、本人が取り消すことができます。

部長
部長

つまり、「代理人を基準に判断して、本人が取り消す」わけだ!
これはワンフレーズとして口ずさめるようになっておいたほうがいいぞ!試験問題で問われると、ひっかかってしまうところだ!

例外…本人が代理人に委託した特定の法律行為については本人が悪意または善意有過失によって知らなかった事情について、本人は代理人の不知、無過失を主張できません。

といっても分かりづらいですよね。以下で説明します。

(ex.)Aの委託(指図)で瑕疵を知らない代理人BがCと契約を締結した。

代理行為の瑕疵の例外

Aは瑕疵を知っているのに「契約してこい」とBに指図しました。そんなAがCに対して「Bには瑕疵があるから取り消しだ!」と言えるか?という問題です。

いくらBを基準に判断するとはいえ、この場合にまでAを保護する必要はないので取り消しできません

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