【大量解説】民法③-3 錯誤とは|権利関係 【宅建部の練習】

錯誤

【大量解説】民法③-3 錯誤とは|権利関係 【司法書士監修!宅建部の練習】

錯誤とは、勘違いのことです。

錯誤でした契約は取り消すことができます。勘違いで契約しても取り消せるのか?なんでだ?ということですが、以下で解説していきます。

この記事で分かること
・錯誤の初歩からハイレベルまで

錯誤とは

錯誤とは、勘違いのことです。一般的な用語で使う錯誤と同じ意味ですね。

錯誤で契約をしたらその効果はどうなるか

錯誤による意思表示は、錯誤に陥った者(表意者)取り消すことができます。錯誤に陥ったかどうかは表意者にしかわからないため、相手方から取り消すことはできません。

しかし、勘違いはよくあることです。簡単に取り消されたら、相手方はたまったもんじゃありません。

そこで、錯誤で取り消す場合には、原則として、以下の2つの要件を満たさなければなりません。

①錯誤が「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの」であること

部長
部長

ー 契約の「重要部分」のこと ー
・『法律行為の目的』とは表意者の主観のこと
・『取引上の社会通念』とは客観ということ
しかしこれだと分かりづらいんだ!
だから、「錯誤が無ければ意思表示をしなかったであろう重要部分」のことであると覚えればOKだ!なんでもかんでも錯誤だと言われないように重要部分に限定しているってことだな!

重過失(重大な過失)がないこと

部長
部長

ー ②の例外 ー
ただし、以下の場合は表意者に重過失があっても取り消すことができます
 ⅰ.相手方が悪意または重過失である場合
表意者の勘違いを知っているまたは重過失により知らない相手方を保護する必要はないからです。
 ⅱ.相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた場合(「共通錯誤」といいます)
相手方も同一の錯誤に陥っているのなら、取り消しても問題ないからです。

表意者の相手方は損害賠償請求ができるか?

表意者の過失による錯誤により取り消された場合は、表意者の相手方は不法行為等を理由として損害賠償請求をすることができる可能性があります。

錯誤の場合に相手方が常に泣き寝入りになるとかわいそうだからです。

動機の錯誤

動機とは…表示行為をするための理由となる部分のこと

動機の錯誤は、通常の錯誤ではなく、特殊な錯誤の話です。詳しく見ていきましょう。

通常、何かを買うときの流れ①新幹線が通るので地価が上昇するという風評を信じた=動機
②それならばと、その周辺のA土地を買おうと決意した=内心的効果意思
③A土地を買いたいと申し出た=表示行為

ⅰ.通常の錯誤との違いは?

通常の錯誤は②の「内心的効果意思」と③の「表示行為」が一致していない上、その不一致を表意者が気付いていないことをいいます。

しかし、動機の錯誤は①の「動機」の部分が事実と異なっていた場合をいいます。

例えば、「新幹線が通る」というのは全くのウソで地価なんて上昇しないが、そのウソを信じてしまった場合は「動機の錯誤」となります。

.動機の錯誤では取り消しを主張できないか?

原則取り消しはできません

「動機の錯誤」は言ってしまえば「ただの思い込み」であり、錯誤の要件である「重要部分の勘違い」ではないからです。

例外動機が表示されていれば、錯誤による取り消しを主張できます

「新幹線が通るんだったら買いますよ」というように表示すれば取消しを主張できる場合があるということですね。

なお、この動機の表示は、黙示的に表示されている場合でもかまいません。

部長
部長

【最高のテクニック】
民法では「黙示」「沈黙」があった場合に要件に該当し得るかという問題ではほとんどの場合、該当するぞ!
「黙示」による表示だろうが錯誤であることには変わりないからだ!

ⅲ.動機の錯誤に重過失があった場合はどうなるか?

重過失がないことが必要です。通常の錯誤と同じです。

錯誤であることには変わりはないからです。

取消しの主張前に第三者が出てきた場合はどちらが勝つか?          

(Q.)AとBが土地の売買契約をした後、Aが錯誤取消しをする前にBはCに売却してしまいました。さて、この時にAはCに対して「錯誤でBとの契約は取り消したからその土地返して!」と言えるでしょうか?

錯誤に陥っているA、錯誤について善意無過失のCのどちらが保護されるべきか考えてみてください。

#E4EDF3(A.)Aは善意無過失のCに対して、錯誤による取り消しを主張できません

『錯誤に陥ったAには落ち度がある』と考えるためAはCに取り消しを主張できないのです。

よって、善意無過失であれば第三者のCが保護されるため、上記の土地はCのものになります。

錯誤おわり

錯誤の論点はこれで終了です。

宅建試験でも通用するどころか、行政書士試験や司法書士試験でも通用するほどの大量解説をしてきました。

次は詐欺へと進みます。

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