【大量解説】民法⑥-2 消滅時効|権利関係 【宅建部の練習】

消滅時効

民法⑥-2 消滅時効|権利関係 【司法書士監修】

この記事で分かること
・消滅時効の初歩からハイレベルまで

前回の記事は取得時効でした。

ここからは消滅時効に移ります。

「金を借りても5年間逃げ切れば、時効で返さなくてもよくなる!」というやつです。

実際のところ、そんな簡単な話ではないですが、消滅時効はどういった内容なのか見ていきましょう。

消滅時効

1.消滅時効とは

消滅時効とは…一定期間行使されない場合、権利を消滅させる制度のことです。イメージとしては、借金の取り立てを一定期間しなければ時効によって消滅します。

2.消滅時効の期間は?

権利の種類権利が消滅する時効期間
債権①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年
②権利を行使することができる時から10年(人の生命または身体の侵害による損害賠償請求については20年)

①または②のどちらか短い期間が適用されます。
債権または所有権以外の財産権権利を行使することができる時から20年

権利の上に眠っている者は保護しないという時効制度の趣旨からこういった時効期間が定められています。

なお、所有権は消滅時効にかかりません
普段使わない物を家のどこに置いたか忘れてしまって何年も放置していることはあると思います。そんな場合に時効によって自分の物じゃなくなるなんておかしいですよね。

部長
部長

― 混乱注意 ―
所有権は消滅時効にかかりませんが、取得時効によって他人に取られることはあるぞ!これは混乱している人が多い論点だ!
つまり、自分の土地を20年ほったらかしにしておいても他人が何もしていなければ自分の所有権が消滅することはない!
しかし、その土地を他人が10年or20年間占有しているのであれば取得時効によって取得されることはあるんだ!(他の取得時効の要件も満たす必要はあるぞ)

3.消滅時効の起算点はいつか

 時効によって消滅するとはいえ、その時効期間はいつからスタートするのかまだ学習していませんのでここで見ておきましょう。各種の債権によって起算点は異なります。

一見ややこしそうな表ですが実はそこまで難しくはありません。一つのルールを当てはめるだけです。ただ、慣れない用語なので難しく感じるだけです。

 また、消滅時効とは別物ですが、履行遅滞のスタート時期も同じような考え方をしますので、ここで一緒に見ていきましょう。

消滅時効と履行遅滞になる起算点の比較表

.消滅時効のポイント

ややこしい表は終わったので消滅時効の細かな点を見ておきましょう。上記表と同じくまだ学習していない知識も出て来ますので、流し見で構いません。

確定判決によって確定した権利の期間は?

確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年になります。(169条1項)

判決などの後、それを放置した場合に、短い期間で消滅時効を認めると、せっかく訴訟を提起して裁判官が判断したことが無駄になるので10年と長くなっているのです。

占有権、物権的請求権、共有物分割請求権、登記請求権は時効消滅するか?

占有権は時効消滅しません。占有権は単に事実状態として占有があるときに権利として認めているだけで、占有していなかったら消滅するからです。

また、物権的請求権、共有物分割請求権、登記請求権も時効消滅しません。所有権に付随する権利だからです。

次は時効の完成猶予と更新、援用、放棄へ

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