【大量解説】民法②オマケ 金銭債務の特則|権利関係 【宅建部の練習】

金銭債務の特則

民法②オマケ 金銭債務の特則 【司法書士監修!宅建部の練習】

この記事で分かること
・金銭債務の特則の初歩からハイレベルまで

このページは債務不履行に関連する論点です。

金銭債務の特則とは、「金銭の支払いが遅れた」場合に特別ルールがあるということです。

民法では「物の引き渡しが遅れた」場合は、通常の債務不履行のルールで処理しますが、「金銭の支払いが遅れた」場合は、以下に記載した特別ルールを適用します。

なぜ特別ルールがあるのかというと、金銭トラブルは世の中で1番多いトラブルなので、画一的に処理したいからです。裁判所は暇ではありません(1人の裁判官につき約200~300件の裁判をかかえています)。ひとつひとつ個別的に処理する暇はないため、特則を設けて処理を簡便にしているのです。

金銭債務の特則(419条)

 ①内容

金銭の給付を目的とする債務の不履行については損害賠償の額は、利息相当分とされています。お金の支払いが遅れたなら、利息分の損害が生じていると考えるのです。

損害賠償請求できる金額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率(年3%、3年に1度見直しの変動利率)によって定めます。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは約定利率によります。

部長
部長

つまり、「最低でも法定利率分は確保できる」ということだな!

 ②債権者がすることは?

債権者は損害の証明をする必要はありません。これは債権者にとってかなり有利です。理由は以下③の「債権者に有利なルール」の通りです。

実は、裁判所で「証明」をすることって大変なんです。裁判官は神様ではないので、なんでも分かるわけではありません。自分の味方でもありません。その裁判官を納得させる「証明」というのは、とてつもない労力がかかります。

 ③債務者がすることは?

債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができません。意味が分かりづらいですね。

部長
部長

つまり、金銭債権だったら災害だろうが故意や過失がなかろうが、債務者は損害賠償をしなければならないということだ!
これは債務者にかなり不利な規定だぞ!正直かわいそうだと思う!

上記の3つのように画一的なルールにしなければ裁判所がパンクしてしまうため、金銭債務の場合は「損害の証明は不要!賠償額は法定利率(約定利率)でする!不可抗力は考慮しない!」となっているのです。

チェックボックス債権者に有利なルール
この金銭債務の特則は債権者が圧倒的に有利です。債務者は納得できないでしょうけど我慢してもらいます。
なぜそんなことになっているのかというと、債権者側の人たちが法律(ルール)を作るからです。
債権者はお金を貸す側です。「銀行」や「権力者」などです。そして、法律(ルール)を作るのはそういった人たちです。もちろん、自分たちに有利な法律(ルール)を作りますよね。
よって、債権者にとって有利な法律になっています。

金銭の支払いができなかったら履行遅滞か?履行不能か?

金銭の支払いができない場合は、履行遅滞になります。履行不能ではありません。

例えば、借りたお金を返せない場合は、その人はお金を持っていないかもしれません。

しかし、世の中からお金が消えて無くなったわけではないですし、そんなことは考えられないので、履行不能にはならず履行遅滞になるのです。

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