住宅金融支援機構ってどんなところ?めちゃタメVol.1

住宅金融支援機構

住宅金融支援機構ってどんなところ?めちゃタメVol.1

読み終える時間:約5分

宅建試験のテキストには載ってないけどめちゃくちゃタメになること!第1回目です。

今回取り上げるのは「結局なにをしているのかよく分からない」でおなじみの住宅金融支援機構です。

実は名のしれた大企業と比較しても見劣りしない超巨大法人であることはご存知でしょうか?

今日は、そんな日本の住宅ローン事情を支える住宅金融支援機構を調べました。

住宅金融支援機構の概要

住宅金融支援機構

リンク:住宅金融支援機構

住宅金融支援機構は、平成19年4月1日に設立された独立行政法人です。

略称はJHF。

2021年7月時点で従業員は891人、資本金は7014億円(!)で主要都市に支店があります。

→リンク:住宅金融支援機構 投資家向け説明資料

本店は東京都文京区後楽1-4-10にあります。

ストリートビュー

画像:住宅金融支援機構本店 ストリートビュー

政府が全額出資している独立行政法人で、現在の機構になるまでは住宅金融公庫(昭和25年~平成19年)の名称でした。

平成15年から証券化支援業務(フラット35)を開始していて、最近では空き家対策や省エネ住宅に関する住宅ローンに力を入れています。

住宅金融支援機構の規模感

冒頭で超巨大法人と書きましたがあながちウソではありません。

まずはあらかじめ断っておくと、住宅金融支援機構は独立行政法人であるため通常の株式会社などとは概念が異なっているのを念頭に置いて以下を見てください。

令和元年度の住宅金融支援機構は一体いくらの利益を出しているでしょうか?

1億円?

10億円?

100億円?

 

…いえ、まさに文字通りケタ違いです。

令和元年度の住宅金融支援機構は1514億円の利益(赤枠)を叩き出しています。

決算

リンク:住宅金融支援機構 ディスクロージャー誌

 

ちなみに、この利益はりそな銀行のりそなHD(1524億円)、SUBARU(1525億円)、富士通(1600億円)と近い水準です。

誰でも知っている大企業と肩を並べているわけです。

また、資産総額でいえば26兆円(!)あります。これはソニー(23兆円)より多い水準です。

決算 総資産

 

住宅金融支援機構の仕事

住宅金融支援機構が行っている主な業務は以下の3つです。

①証券化支援業務
いわゆる「フラット35」の業務です。同じフラット35でも「子育て支援型」や「地域活性化型」というバリエーションもあります。「フラット35S(省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅を取得する場合に借入金利を一定期間引き下げている)」という兄弟分も存在します。

②住宅融資保険業務
この業務はいわば「銀行のための保険屋さん」です。例えばAさんが銀行から融資を受けて(住宅ローンを組んで)住宅を購入する場合に、銀行は十分な審査をします。
しかし、それでも不測の事故で返済ができなくなる不安は拭えません。
そこで、住宅金融支援機構が銀行の保険屋さんになってくれているわけです。
あらかじめ保険をかけておくことで、もしもの時に住宅金融支援機構が銀行に対して保険金を支払ってくれます。

住宅融資保険等業務

リンク:住宅金融支援機構 住宅融資保険事業

③住宅資金等融資業務
住宅金融支援機構が直接融資をする点に特徴があります。なんでもかんでも直接融資をするわけではなく、災害復興や子育て・高齢者の居住安定のためなどの場合に銀行などのいわゆる民間金融機関を通さずに住宅金融支援機構が直接融資をするわけです。

ここからはそれぞれを分かりやすく深堀りしましょう。

証券化支援業務(宅建でも重要)

フラット35

証券化支援業務の仕事のメインはフラット35です。

全期間固定金利なので、資金の受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定することは返済計画を立てやすく大きなメリットでしょう。

保証人不要、繰上返済手数料不要です。

フラット35

リンク:フラット35

フラット35は住宅金融支援機構が直接融資をしているわけではありません。

民間金融機関(主に銀行)を通してフラット35を提供しています。

フラット35

みずほ銀行・三井住友銀行といったメガバンクや、横浜銀行などの地方銀行、アルヒなどの住宅ローン専門金融機関といったバリエーションに富んだ金融機関がフラット35を提供しています。

フラット35を提供している民間金融機関

金利も金融機関によりバラバラなので、下限と上限のほかに「最も多い金利」という項目もあります。
わざわざそんなことまで記載していて住宅金融支援機構の親切心が垣間見えますね(^_^;)

フラット35金利

フラット35の金利情報

フラット35を使っている人は1日に約228人

フラット35の平成29年度利用調査では計83,513件の利用があります。

これは一日に約228人がフラット35を利用している計算になります。

融資額の平均額が4282万円なので、仮に1件につき4282万円を融資しているとしたら1日に1001億円を融資していることになります。

リンク:平成29年度フラット35利用調査

興味本位で計算してみたら途方も無い金額になりました(;・∀・)

約1000億円といえば、お金配りをしている元ZOZOの前澤社長がツイッターでこんなことを言っていました。

「10億円くらいまでは『よっしゃ自分で稼いだぜ!』が、100億円くらいになると『わーみんなのおかげでこんなにも』ってなって、1000億円とかになると『もはやこれは自分のお金なのかどうかも分からん。とにかく人や社会のために役立たせんと』ってなる。持ったら持ったで責任重大やでー!」

住宅金融支援機構は配りはしませんが貸してはくれますね…。

証券化支援業務(買取型)と(保証型)【宅建でも重要】

宅建受験生であれば「証券化支援業務(買取型)」や「証券化支援業務(保証型)」という謎の言葉を覚えさせられます。

イマイチ理解が進まずに丸暗記している方も多いと思いますが、それは証券化支援業務の概念を整理できていないからです。

ここで証券化支援業務を少し掘り下げてご紹介しましょう。

買取型

証券化支援業務のメイン業務はフラット35です(上記の住宅金融支援機構の仕事を参照)。

借主からすれば「35年間の固定金利で住宅ローンを組んだ」わけですが、銀行からすれば35年もの間返済してもらえるか不安がつきまといます。

もしも返済が滞ると住宅ローンを返済してもらう権利(住宅ローン債権)がコゲついたわけなので、銀行の担当者は震え上がります。

そこで住宅金融支援機構は銀行のためにこの住宅ローン債権を買い取ってあげて、銀行のリスクを肩代わりするわけです。

 

しかし、住宅金融支援機構はコゲつく可能性がある住宅ローンを買い取ってリスクを背負いたくありません。
そこで投資家が登場します。

もう少し、掘り下げましょう。

この買取型については住宅金融支援機構のサイト内でも難しい説明がされています。

買取型

リンク:住宅金融支援機構 証券化支援業務(買取型)概要

これらは解説すると以下のようになります。

銀行「顧客(住宅を買う人)にフラット35で住宅ローンの融資をしたはいいけどちゃんと回収できるか不安だよ。35年もあるんだよ?顧客が無職になったら回収できなくなっちゃうよ…。」

住宅金融支援機構「じゃあ、その住宅ローン債権はうちで買い取ってあげるよ!ウン千万円する?大丈夫!うちはうちで住宅ローン債権を証券化(資産担保証券)して株券みたいに投資家に売ればまとまったお金は回収できるから!」

投資家「う~ん…株や為替は変動が激しくてリスクが高いな…。じゃあ、信用力の高い住宅金融支援機構の証券を買っておけば安心な投資ができるな!」

 

少し補足しておくと、住宅ローン債権を証券化したものを資産担保証券(通称、MBS:Mortgage Backed Security)と言います。

証券化というのは、住宅ローン債権という目に見えないものに「商品名:資産担保証券(MBS)」という名前をつけてある程度の束にして、投資家に売れるようにしたということです。

住宅金融支援機構はこの資産担保証券(MBS)を投資家に売ることでリスクを投資家に転嫁します。

では、なぜそんなものが投資家に売れるのかというと、投資家からすれば公的機関の信用力を背景に最高位格付け(AAA)で発行されている証券なので、安全性が高くリスクを抑えつつ投資ができるからです。

これは投資に対する考え方にもよるでしょうけど、安全に投資できるということは魅力的な商品であるということは間違いありません。

住宅金融支援機構が買い取ってくれるための要件

銀行が提供するフラット35であれば何でもかんでも住宅金融支援機構が買い取ってくれるわけではありません。一定の要件があります。

宅建受験生なら見たことがある要件です。

  1. 住宅の建設・購入・借換えのための貸付
  2. 本人または親族が居住する住宅であること
  3. 一定の耐久性等の技術基準に適合する住宅であること
  4. 貸付額が、100万円以上8,000万円以下(1万円単位)
  5. 長期・固定金利の住宅ローンであること。
    • 償還期間が15年以上35年以内であること。
    • 貸付利率が全期間固定であること。

保証型

保証型も登場人物などは同じです(フラット35、債務者、住宅金融支援機構、銀行、信託銀行、投資家)。

証券化することも同じではあるものの、それ以外の流れはかなり異なります。

リンク:住宅金融支援機構 証券化支援業務(保証型)

流れをシンプルにすると以下のようになります。

保証型

 

借主が背負う住宅ローンには「住宅融資保険」をして銀行を保護しつつ、投資家には「受益権の保証」をしてリスクバランスを保っているわけです。

住宅ローン債権を買い取らないですし、あくまで保証という裏方に徹しているイメージですね。

この保証型はあまり普及しておらず、圧倒的に買取型が多いのが実情です。

買取型は300行を超える金融機関が取り扱っていますが、保証型は11行で新規受付をしているのは8行です。

リンク:フラット35(保証型)

住宅融資保険【宅建でも重要】

住宅融資保険は、上記の証券化支援業務(保証型)にも出てきた通り、銀行が提供する住宅ローンの保険業務をしています。

住宅金融支援機構は保険屋さんとして、各銀行の住宅ローン債権がコゲついても大丈夫なように銀行を守っているわけです。

なお、あくまで住宅金融支援機構と銀行との間で保険契約をするため、借主は直接には関係ありません

保険

 

住宅融資保険はフラット35とセットで利用されると思っておいたほうが理解しやすいでしょう。

この10割補填型や9割補填型がありますが、メインの商品は10割補填型です。

10割補填型

リンク:住宅金融支援機構 住宅融資保険

住宅資金等融資業務(直接融資業務)【宅建でも重要】

銀行などを通さずに、住宅金融支援機構が債務者へ直接に融資する業務です。

住宅金融支援機構が直接融資することは例外的なため、大きく分けて以下の場合にしか直接融資ができません。

  • 災害復興・災害予防のため
  • 子供・高齢者のため
  • 安全・修繕のため

国全体の安定を視野に入れた事情について直接融資しているといったイメージですね。

例えば、災害復興・災害予防などを目的としては被災者支援などがあります。

以下に住宅金融支援機構の資料を掲載しましょう。

支援

支援2

リンク:住宅金融支援機構 ディスクロージャー誌

まとめ

  1. 住宅金融支援機構は巨大法人
  2. 証券化支援業務と住宅融資保険はフラット35をイメージの念頭に置く
  3. 国全体の住宅事情を支えている

宅建試験では毎年1問出題されるにも関わらず理解が進まない住宅金融支援機構ですが、木を見る前に森を見ればイメージがしやすくなるんじゃないでしょうか。

最後に、就活生向けのページには先輩職員たちのインタビュー座談会がありましたので、興味がありましたら御覧ください。

インタビュー

リンク:採用情報ページ インタビュー&座談会

 

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それでは、ありがとうございました。失礼致します。

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