【大量解説】民法② 債務不履行|権利関係 【宅建部の練習】

権利関係の民法

民法② 債務不履行|権利関係 【司法書士監修!宅建部の稽古】

この記事で分かること
・債務不履行とはなにか
・履行遅滞の初歩からハイレベルまで
・履行不能の初歩からハイレベルまで

債務不履行とは

民法という法律の学習なので「トラブルが起こったときは、法的にこうやって解決するのか!」という視点を持って見ていきましょう!

債務不履行とは、故意や過失によって約束を破ることです。

故意(わざと)か過失(落ち度)によって約束を破ったということですね。

典型例は、「売買契約したのに、商品を引き渡してくれない場合」です。

世の中には色々なトラブルがありますが、債務不履行は約束を破られたときの話です。

債務不履行の種類

債務不履行は2種類あります。「履行遅滞」と「履行不能」です。

一言で「約束を破る」と言っても、単に約束に遅れただけなのか、そもそも約束を反故にしたのかといった違いがありますよね。

その違いを法律は区別して規定しています。

債務不履行(415条)
履行遅滞
債務者が債務を履行できるのに、履行期になっても履行しないことです。ようは「約束に遅れた」ということです。
履行不能
履行不能とは、履行が不可能なことです。ようは「約束を履行することができなくなった」ということです。
部長
部長

「債務不履行」というのは総称ということだな!
債務不履行の中に、履行遅滞と履行不能があるんだ!
「債務不履行」と「履行遅滞」と「履行不能」の3種類があるわけじゃないんだ!
初心者が間違いがちな落とし穴だぞ!

※不完全履行(その名の通り、不完全に履行するというもの)という種類もありますが、宅建試験ではほぼ出題されませんので、掲載しません。

履行遅滞

履行遅滞とは、正当な理由なく、契約で取り決めた期日までに債務者が債務を行なわないことです。

つまり、その名の通り、履行に遅れていることです。

部長
部長

Bは商品の引き渡しが遅れて怒っているぞ!
こんなときに、Bは法的にどんな文句が言えるのかというと、以下の「損害賠償請求」と「解除」だ!

.履行遅滞になったら何ができるのか?

 ①損害賠償請求(415条1項)

契約や社会通念に照らして、債務者の責めに帰すべき事由(帰責性があるときは、債権者は生じた損害について債務者に対して損害賠償請求ができます

簡単にいうと、債務者(A)に落ち度がある場合は、債権者(B)は損害賠償請求をすることができるということです。

反対に、履行遅滞になったことについて債務者に責任がない(ex.災害)なら債務者は免責されます。つまり、損害賠償請求はできません。

 契約の解除(541条)

相当の期間(履行するのに必要な日数で足りる)を定めて催告をし、その期間内に履行がない場合は、債権者は契約の解除をすることができます。

といっても難しいですよね。平たく言うと、上図の場合BはAに対して「●月×日までに商品ちょうだいね」という相当な期間を定めて催告をします。その期間を過ぎても履行されない場合は契約を解除ができます。

部長
部長

「待ってやれば履行してくれるかもしれないから少しくらい待ってやれ!」ということだな。逆にいうと、待ったのに履行してくれないなら解除ができるということだ。
債務者からするとこれがラストチャンスなんだ。

ちなみに『相当な期間』の具体的な日数は事件によって異なるため裁判所が決めてくれます。私達は決められません。

チェックボックス試験対策としては、具体的な日数を気にせずに「相当な期間」という文言を覚えておきましょう。

なお、相当な期間を定めていなかったり、期間が相当でない場合でも相当な期間が経過すれば解除権が発生します。これは以下のテクニック通り覚えればOKです。

部長
部長

【テクニック】
ようは「相当期間が経過すればOK」って覚えれば、何も怖くないぞ!
必ず覚えておきたいテクニックだ!

※債務不履行になったことについて債権者に責任がある場合はどうなるか?

通常の債務不履行とは逆で、債者の方に帰責性があるなら解除できません(通常の債務不履行は、債者の方に帰責性があります)。

履行遅滞は、債務者に約束を破られてしまってかわいそうだからこそ債権者に解除権を与えているわけですが、債権者自らが約束を守らないくせに解除しようなんて虫のいい話は認められないからです。

2. 履行遅滞になっていても「履行してよ!」と求めることはできるか

「契約したことをさっさとやってくれよ!それで丸く収まるんだから!」と言いたいですよね。

法律もそれを分かっているので、もちろん言えます。

つまり、履行が遅れているだけなので「本来の給付」を強制できるのです。(「強制履行」といいます)

本来の給付の追求には債務者の帰責事由(債務者の責任)は必要ありません。給付をするのが当然だからです。

3. 履行遅滞に陥ったことが違法でなければならないのか

債務者に同時履行の抗弁権、留置権等、履行しないことに正当な理由がある場合には履行遅滞にはなりません。履行しないことが正当だからです。

履行不能

履行不能とは、ある契約が締結し、その債権の成立した時点以降に、債務者が故意あるいは過失によらず、債務を実行することが不可能となることです。

物理的に不可能かどうかだけではなく、社会の取引観念に従って考えるので、法律的・社会的不能でも履行不能になります。

つまり、一般的に考えて履行できないならそれは履行不能だということです。

1.履行不能になったら何ができるのか?

①損害賠償請求

履行遅滞と同じく、債権者は損害賠償請求ができます。

契約の解除

解除もできますが、履行遅滞と違って、催告は不要です。

履行できないことが確定しているので催告しても意味がないからです。

部長
部長

【催告のポイント】
履行遅滞の解除では「相当の期間」、「催告」が必要です。
履行不能の解除ではそもそも「催告が不要」です。

なお、履行遅滞と同じく、債権者側に責任がある場合は解除できません。

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