マンションの相続税 従来通りの「路線価」で算定認めず 最高裁判決
2022年4月23日
事件の概要
マンションを相続した人が相続税の算定基準として一般的な「路線価」をもとに申告した。
しかし、「不動産鑑定」の価格と大きな差があることなどを理由に、国税当局から追徴課税された。
そこでマンションを相続した原告は処分の取り消しを求めていた裁判である。
事件の詳細
平成24年に都内と神奈川県内にあるマンション2棟を父親から相続した3人は、相続税の算定にあたり「路線価」をもとに合わせておよそ3億3000万円と評価し、金融機関からの借り入れもあったため、税額を0円として申告しました。
しかし、購入時の価格はおよそ13億8700万円、「不動産鑑定」による評価額も12億7300万円余りだったため、国税当局から「路線価での評価は適当ではない」として、およそ3億円を追徴課税され、処分の取り消しを求めて訴えていました。
最高裁判所の結論は?
最高裁判所は「税負担の軽減を意図して行ったもので、ほかの納税者との間で看過しがたい不均衡を生じさせる」として訴えを退けました。
最高裁判所第3小法廷の長嶺安政裁判長は「近いうちに相続することが予想される中、相続税の負担を減らしたり、免れることを期待して不動産の購入・借り入れを実行していて、税負担の軽減を意図して行った。ほかの納税者との間で看過しがたい不均衡を生じさせ、実質的な租税公平に反する」としました。
宅建試験への影響は?
今すぐの影響はありません。
相続税率が変わるわけではないからです。
そもそも宅建試験では相続税に関して出題がほぼありませんので、影響は軽微でしょう。
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司法書士の実務をしながら大学講師をしている法律家。
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宅建士、司法書士、行政書士、貸金業務取扱主任者など法律系資格を保有。
法律未学習・高卒・フリーターから宅建試験をきっかけに法律の道を進む。